11月10日(金)海老蔵の弁慶だ
新橋演舞場に、花形歌舞伎を見に行く。松録の「番長皿屋敷」、海老蔵の「勧進帳」、菊之助の「弁天小僧」。海老蔵の弁慶は、海老蔵襲名披露の大阪松竹座でみて以来。そのとき、海老蔵は風邪を引いていたようで、体調が万全ではなかった。今回は、体の方は相当に調子がいいようで、「勧進帳」あっという間に終わってしまった。やはりその迫力は相当なものだ。いくつか、工夫もみられたが、とくに勧進帳を読み上げる部分で、3度何も書いていない巻物に目を近づけ、読みにくい文字を読んでいるかのようなふるまいをしたのは、今回がはじめただろうか。ほかの役者の「勧進帳」でも、そうした工夫はなかったように思う。富樫に振る舞われた酒を飲む場面も、ユーモアたっぷりで楽しめた。とにかくスピード感と迫力とは申し分ない。ただ、台詞をものすごい早口で言えるままに行くところが、聞きづらかったりもする。
松録は、だんだんいい声になってきているが、青山播磨に特有の陶然とさせてくれるところにはまだ達していない。しかし、ゆっくりではあるが、この人着実に先へ進んでいる。一方、菊之助、きれいだし、うまいのだが、破天荒なところがなく、そこが弁天小僧として物足りない。総じて、それが彼の欠点だろうか。なんか、優等生過ぎる気がする。
新橋演舞場が終わってから、朝日新聞社に行き、『週刊朝日』の取材を受ける。創価学会の新会長の人事のことについてだが、今朝の聖教新聞を見ると、たんに会長が替わっただけではなく、組織全体の仕組みが大きく変わったようだ。とくに注目されるのが、未来本部ができて、その本部長に池田ジュニアが就任したこと。ほかにも、教学部の体制が強化された。これは、どちらも『創価学会の実力』で指摘した、現在の創価学会の弱点につながる。まさか、私が書いたから、それで強化したのではないだろうが、私の指摘の妥当性が一応証明されたとは言えそうだ。
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