1月8日(月)森美術館で日本の幸せを感じる
ライブラリーで仕事をする。祝日なので、ヒルズ自体は混んでいるが、ライブラリーの方はすいている。仕事がはかどるものの、途中、香水のきつい女性が入ってきて、これには困った。廊下にまで香りがする。しかたがないので、ワークスペースを借りる。こうした場合はどうしたものか。集中力がそがれることはなはだしい。
昼食は、ヒルサイド地下の「アン」でとる。この店ははじめて。海老天丼、小皿がいくつかついて1500円。店の雰囲気から考えると、悪くはない。そのあと、森美術館で開催中の「ビル・ヴィオラ: はつゆめ」展を見る。今日までなので、見ておくしかない。作品はビデオアート。高感度のハイビジョンで撮影したものが多く、その威力には感心する。おもしろかったのは、19人の人間が集まったところで、突然ものすごい放水が起こるという作品。水しぶきやそのなかで呆然と立ちつくし、倒れていく人々の姿は圧巻だった。
ただ、全体的に、作品の意図はわかるものの、被写体となった人物が貧しい気がした。昔の西洋の肖像画なら、そこに描かれたのは、栄耀栄華を極めた人物が多く、顔からドラマが伝わってきた。しかし、現代の普通の人間では、たとえそれが俳優でも、そうはいかない。最初に展示されているのは、男がこちらに歩いてきて、最後に火柱が上がって、人物が消えていくというものだが、歩いているところがつまらない。もしこれが、日本の歌舞伎役者であったら、あるいは能役者であったら、歩いているだけで見られるものになっていたことだろう。この技術を使って、歌舞伎や能の役者の映像を撮影してみたらどうか。考えてみると、そうした役者は、ほかの国には存在しない。そこに、日本の芸能の水準の高さがあり、日本人の幸福があるように思った。
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