5月6日(日)運慶作大威徳明王像と特攻観音
『日本宗教美術史』の取材ということで、金沢文庫へ。編集の渡辺さんに車で連れて行ってもらう。天候は悪かったが、道は行き、帰りともすいていた。連休最後ということだろうが、これだけすいている東京の道は珍しい。
お目当ては、運慶の大威徳明王像。最近、運慶作であることがはっきりした。昨日の『朝日新聞』にもそのことが取り上げられていた。金沢文庫ははじめて。ほかにも、隣の称名寺に関連する仏像などが展示されていた。大威徳明王像は、思っていた以上に小さかった。眼光は鋭く、表情は豊かだが、手も足も失われていて、全貌は想像するしかない。鎌倉将軍の子供たちの養育係になった女性が依頼したものということが、納入文書から明らかになっているが、おそらく自分の近くにおいておき、祈願をするためのものなのだろう。
称名寺の宗旨は、最初浄土宗だったのが、真言律宗にすぐに変わったという。本尊もそれに関連して、阿弥陀仏から弥勒菩薩に変わったようだ。ただ、弥勒浄土図とかはあまり見たことがない。なんだか落ち着きが悪い気がした。真言律宗のことはあまり詳しくはないが、少し調べてみる必要がありそうだ。帰りがけに隣の称名寺に寄る。池がなかなかいい感じだが、寺としてはほとんど機能していないように見受けられた。観光資源としてもったいない気もする。
帰りに、下馬の世田谷観音によってもらう。渡辺さんから、ここには特攻観音が祀られていると教えてもらい、興味をもったからだ。鹿児島の知覧にあるものは、ここの観音を分祠したものという。ただ、知覧の方ではあまりそのことはいわないらしい。住職にお会いして、いろいろと話を伺う。ここの由来など、なかなか興味深い。もちろん、特攻観音にもお参りさせてもらった。決して大きなものではないし、終戦直後5万円で頒布されようとしたものなので、立派な観音像とは言えないかもしれないが、その前で手を合わせていると、不思議に引き込まれるものを感じた。思いの強さのせいだろうか。
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