6月8日(金)1万8千歩の美術館巡り
午前中は、三田会の原稿、10枚ほど書く。サンパウロ三田会の話の途中まで行った。
午後は、上野へ。少し迷ったけれど、ダヴィンチの「受胎告知」を見ることにする。新宿のチケット屋で探したら、200円ほど安い件があった。それをもって上野へ。4時頃着く。金曜日は、午後8時までなので余裕がある。
たまたま東京都美術館でやっている『サントペテルブルグ国立ロシア美術館展』のチケットを貰っていたので、先にそれを見る。おもしろいと思ったのは、イヴァン・アイヴァゾフスキーの「アイヤ岬の嵐」。嵐の中の小舟を描いてなかなかダイナミックだ。同じ作者が「天地創造」も描いているが、こちらの方はもう一つ。さすがに神の業を描くのは難しいのだろう。おかしいと思ったのは、イリヤ・レーピンの「ニコライ・リムスキー=コルサコフの肖像」の絵の解説。偉大な芸術家ではなく、一人の疲れた男を描き出しているといった解説がなされていたが、それを見ても、この偉大な音楽家が疲れているようには見えない。何か解説者の勝手な思いこみのように思えたがどうだろうか。解説にはこうしたおかしなものが多い気がする。
その後、国立博物館に行き、「受胎告知」と対面する。一見して、バランスが悪い絵だという印象を受けたが、あとで、解説のビデオを見たら、遠近法が巧みに生かされていて、斜め下少し離れたところから見ると、全体のバランスがよく見えるような仕掛けになっているという。勉強不足で知らなかったので、帰りがけにもう一度見てみたが、たしかにそれはわかる気がした。ただ、ここでもベストポジションとおぼしきところから見られるようになっておらず、それは少し問題な気がした。他のダヴィンチ関係の展示は、本物がないものばかりで、あまり興味が引かれなかった。
実は、「受胎告知」もお目当てだったが、この際、国立博物館の平常展を見ようと思っていて、本館、平成館、表敬館、法隆寺宝物館などをまわってみた。日本宗教美術史の参考にしようという気持ちがあったからだが、驚いたのは、古代の土器や鏡、埴輪などが意外に大きいこと。こうした点は、やはり実物を見てみないとわからない。火焔型土器にも対面したし、いろいろと参考になった。法隆寺宝物館ははじめて入ったが、金銅仏が多数立ち並んでいるところは圧巻だった。そこの資料室にも寄ったが、大型の美術全集や法隆寺関係のこれも大型の資料が立ち並んでいて、もしかしたら、一度これらを真剣に見る必要が出てくるのかもしれないと感じた。
上野にいた時間は3時間半ほどで、ほとんど座ることもなかったので、帰ってきたら1万8千歩以上歩いていたことがわかった。最近は、それだけ歩いても案外疲れない。いろいろと収穫の多い一日だった。
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