9月8日(土)自らに哲学はありやなしや
台風の余波でなんだか暑い。昼、魚真に買い物に行ったら、ほとんど何も並んでいなかった。これは台風のせいで、仕方がない。台風のことを忘れていた。
図書館で借りて、オーディオ評論家の菅野沖彦さんの『新レコード演奏家論』を読む。古い方の版は読んでいないけれど、かなり書き足してあるようだ。菅野さんの文章は、『ステレオサウンド』などでよく読んでいる。熱心なリスナーを「レコード演奏家」と読んだところがおもしろい。
こうした一冊読んでみると、やはり菅野さんには「哲学」があるのだと思えてくる。ここで言う哲学は、西洋哲学とか、東洋哲学とかいうときの存在論をめざすものではなく、ポリシーのようなものに近いけれど、たんなるポリシーとも違って、具体的なものにその哲学が表現されている。たとえば、彼が録音したレコードとか、長い時間をかけてくみ上げたオーディオのシステムとか。そういう具体的なものがあるからこそ、哲学に基盤があって、非常にしっかりとしたものになっている気がする。一般のオーディオ評論家だと、ここまでは行かない。ポリシーはあっても、哲学はない。自分のことをふりかえると、哲学はあるのか。まだその域に到達していない気がする。あるいは、哲学を作り上げるような人間ではないのかもしれない。そこらあたりのことを、小林秀雄を鏡にして考えてみようかとも思っている。
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