10月21日(日)壱太郎の「鏡獅子」にたいそう感心する
山川静夫華麗なる招待席の放送で、中村壱太郎の「鏡獅子」を見る。16歳での「鏡獅子」は最年少だという。たしかに、袱紗や扇の扱い方で稚拙なところもあったけれど、なるほど「鏡獅子」という踊りはこういうものだと思えるような優れたものだった。女形で年齢的にも若いということで、自然に小姓に見えるという利点もあるが、それだけではないだろう。「鏡獅子」がいったいどういう作品なのかを十分に理解した上で踊っている。
とくに感心したのが、獅子の頭を持つ前の部分。もうそこで、獅子の力が弥生に及んでいることがだんだん感じられてくるように踊っている。それによって、なぜ獅子の頭をもつのか、その獅子が生きているかのように動くのか、流れが納得できるものになっている。
学業と歌舞伎との両立を聞かれ、できるなら学校を辞めたいと言っていたのもいい。それでも大学への進学を考えているようだが、彼にはそれは余計な気がする。父や叔父のように、そのあいだ歌舞伎から離れるということは間違ってもないだろうが、20歳前後の役者としての輝きを是非もってもらいたいという点では、大学には行かないでもらいたいとも思う。野球の投手もそうだが、18歳の輝きというのは本当に貴重だ。壱太郎は、間違いなくこれからの歌舞伎を担っていく重要な役者の一人になるのだから、どうか専念して欲しい。
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