11月3日(土)弾丸古寺巡礼
昨日までの旅を振り返ってみると、我ながらそうとうなものだったと思う。見た国宝の数をかぞえてみたら、奈良の分だけで約100件になった。興福寺の国宝館では、たくさん見過ぎて、いったいどれを見たのか定かでない部分がある。しかも、八部衆や四天王はそれで一件として計算したので、仏像の数でははるかに上回る。さらに京都で10件は見ているから、全体で110件くらいか。奈良には国宝が200件を少し上回るくらいあるようなので、その半分近くを見たことになる。
和辻の『古寺巡礼』と比較してみると、彼がまわったところには全部まわった。彼が見た仏像や建物はほぼ全部見た。一つ唐招提寺は金堂が修理中なので、建物もそこにある仏像も見れなかった点が違う。ただし、私の方は、和辻が奈良の国立博物館で見たものを、その後各寺に返却された形で現地で見ている。見ていないのは、西大寺の十二天くらいではないか。これは、奈良博にも今あるはずだが、今回は展示されていなかった。
和辻がいったい何日かけてまわったのかはっきりとしたことは本からはわからないが、予定は10日くらいとなっていた。それを3泊4日、実質的には3日でまわったから、スピードはおよそ3倍だった。ただ、昔とは交通事情が違い、和辻は浄瑠璃寺まで歩いている。それでも車を使ってまわっているところもあるし、今は修学旅行生という、それぞれの寺にとってはドル箱だが、ほかの拝観者にはちょっとじゃまな大群を交わさなければならないところもある。しかも、高松塚や石舞台など、和辻が行っていないところもある。最終日には、大阪、京都まで足を伸ばしてもいる。
大和の古寺は、もっとゆっくり余裕をもって見るべきだという考えもあるだろう。たしかに、私もそれの方がいいかとも思うところもある。けれども、ときにスピードも重要で、短い間に見尽くしたことで見えてきたものがある。全体像をつかむということでは、今回の旅行はよかった。ちょうど最後の京都国立博物館で狩野永徳のほぼ全作品を一度に見て、それでしかわからないことがあるのと同じだ。
テレビの番組に「弾丸トラベラー」というのがあるが、ちょっとそれに近い。そんな企画がテレビとして成り立つのも、一点にしぼって、見尽くす、あるいはやり尽くすことにそれなりの魅力があるからだろう。それからすれば、今回の新古寺巡礼は「弾丸古寺巡礼」でもあった。いつか、そんなガイドブックも作ってみたい。
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