11月8日(木)顔見世に行って三之助の実力を改めて認識する
54回目の誕生日。もしくは、病気から再生して4周年。それを記念して、新しい本の執筆をはじめる。日本人の属性を3つの種類に分けて考える本。15枚弱書く。そのあと、『日本宗教美術史』を書いたが、ほとんど進まなかった。
午後から歌舞伎座で顔見世を見るために銀座方面へ。4時半ではなく4時40分開演だった。行こうと思ったのは、渡辺保氏が劇評で「山科閑居」の芝翫を絶賛していたのを読んだから。戸無瀬は、なんと初役だという。当然やっていて不思議ではないが、「山科閑居」自体が忠臣蔵のなかでは出にくい演目だからかもしれない。
実際に見て、渡辺氏の言っていたこと、あまりよくわからなかった。芝翫、時代物というより、世話物的なところがあり、武士の女房としての威厳が欠けているようにも思えた。それはあるいは、威厳というところに徹底的にこだわった玉三郎の戸無瀬を前に見たからかもしれない。
よかったのは、菊之助の小浪。前にも見たことがあるが、今回はまるで主役のように見えた。隣のご婦人たちが、菊之助の美しさをほめあげていたが、たんにそれだけではなく、物語を作り出していく創造性が見られたように思う。これが、彼に今まで欠けていた部分ではないだろうか。最後の「三人吉三」も、和尚をやった松録がよかった。前にも書いたが、台詞回しが本当にうまくなっている。前にあった変な癖がないし、黙阿弥の世界を堪能させてくれるような見事さがある。やはりかつての三之助はすごいということだろう。
「だんまり」は、それほどでもなかったが、「土蜘」は、さすが顔見世という豪華な配役。菊五郎も、とくに僧侶がよかった。鷹之資も、幼いのに貫禄があり、口跡もいい。将来が楽しみだ。海老蔵のカレンダー、3000円もするが、誕生日なのでそれを買う。
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