2月22日(金)ガンダーラ展に行き阿含宗の力を再認識する
『日本宗教美術史』の取材旅行。熱海、静岡方面に。まず、MOA美術館に行き、公開中の尾形光琳「紅白梅図屏風」を見る。それにあわせて、「乾山の芸術と光琳」展をやっていた。「紅白梅図屏風」を宗教美術という観点から見るのはかなり難しいが、うまくとりあげることができるだろうか。乾山の作品は、芸術というより、商品として見た方がいいだろう。モダンなデザインも少なくない。仁清の壺も久しぶりに見たが、あまり感銘を受けなかった。
そこから、静岡へ。静岡県立美術館での「ガンダーラ美術とバーミヤン遺跡」展を見る。日本にあるガンダーラの仏像がかなり集まっているという展覧会だが、驚いたのは、阿含宗や真如苑からの出品がかなりの数含まれていること。とくに、阿含宗がもっているものは作品として優れている。それだけ集めてもかなりのものだ。真如苑のは、それに比較すると、作品的には劣る。阿含宗の場合、釈迦直伝の教えということで、インドに強い関心をもつのは納得できるが、これだけのものよく集めたと感心する。MOAからの出品もあり、新宗教が宗教美術の収蔵に大きな役割を果たしていることがわかった。
ついでなので、まだ行ったことのない登呂遺跡に寄る。ところが、遺跡が工事中で、あまり見られなかった。水田跡などもあるが、吉野ヶ里に比較すると、その規模はあまりに小さい。かつては、考古学の世界のヒーロー的な存在だった登呂遺跡も、時代の変化のなかで、霞んで見えるようになってきた。しかたがないので、芹沢銈介美術館を見学する。芹沢の作品はおなじみだが、乾山に通じるところがある。やはり芸術ではなく、商品として見るべきだろう。ただ、法然上人の絵や教会のステンドグラスの制作もあり、そのあたりは宗教美術と関連する可能性がある。
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Comments
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島田先生こんにちは。『日本宗教美術史』早く拝読したいものです。個人的には、既成の美術史界では等閑に付されることの多い江戸時代をどう料理されるのかが興味深いところなのですが。奈良の大仏の江戸時代の頭部はかなり評価が低いということを、どこかで読んだことがあるのですがどうなんでしょう。それと関東でも結構仏像彫刻が多いと思いますが、よく行かれているご様子の新宿などでは、幡ヶ谷不動尊は智修大師円珍の作だとか、そういったものは、その・・・、いやいや、もう素人の勝手な傍目八目談義は控えます。御著作完成されるのをお待ちしています。
ところで、松岡正剛さんの密教論については、宗教学者としてどう評価されているのでしょうか。松岡さんは自身のサイト千夜千冊でも島田さんの訳された『虚無の信仰』を取り上げられていましたね。今月はNHKの「知るを楽しむ」で白川静さんの漢字研究を取り上げて講義されていますが、この白川漢字研究も古代中国の宗教と密接にか関わっている視点が強調されていました。宗教学の立場から、島田さんがどのような感想をお持ちか、ぜひコメントをお聞きしたいと存じました。
Posted by: 車太郎 | February 23, 2008 04:15 PM