4月11日(金)末っ子勧進帳を観劇する
いろいろとあるゲラをまずかたずける。一応、3つとも終わる。その後、ハリーポッターと宗教美術史の原稿を10枚ずつ書く。
午後は、歌舞伎座へ。アメリカから客人があり、いっしょに夜の部を観劇する。勘三郎、仁左衛門、玉三郎と人気役者がそろったためか、客席は満席。補助席も出ている。「将軍江戸を去る」ははじめて見たが、真山青果の作品は、今聞くと台詞が難しい。女性がまったく出てこないのも、いつものこととはいえ、華がない。非常におもしろかったのは、物語が展開するのが1868年4月11日で、これを見た日からちょうど140年前に当たること。4月の作品なので4月に上演されたのだろうが、まさに11日というのはラッキーかもしれない。ただ、あの当時は旧暦のはずで、桜は咲いていないだろう。筋書きを読むと、青果の脚本には桜の指定はないと言うが、彼は時間ということにものすごく厳密で、脚本にその場面がいったい何時なのかを明記している。その精神からすれば、桜はまずい。
2番目は「勧進帳」。仁左衛門の弁慶ははじめて見た。さすがにうまくて、そつがない。勘三郎の富樫は舌足らずのところが、やはり出た。玉三郎は品は抜群だが、能を意識しすぎて、その分、歌舞伎らしさがうすい。興味深いのは、皆、兄弟のなかで下だということ(仁左衛門は下に妹がいるのか?)。いわば末っ子勧進帳。その分、攻撃的な要素がない。長男同士の弁慶と富樫だと、激しいつばぜり合いになるが、末っ子同士ではそうならない。そんなことを考える観客は私だけだろう。
最後の「浮かれ心中」は、いかにも勘三郎一座らしい喜劇。舞台でははじめて見た。ちょっとあっさりで、もっと泣かせる部分がったりした方がいいだろう。演出が中途半端。場面転換ももっと削れるはずだ。それにしても、この三つの演目。よく言えばバラエティーに富んでいるが、少しばらばらすぎないだろうか。
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