2月21日(土)静岡県立美術館の「朝鮮王朝の絵画と日本」は予想通り好企画で企画者の熱い講演まで聴くことができた
朝、ホテルでめざめる。朝食をとりに下におりようと思ったら、エレベーターのところの窓の真正面に雪景色の富士山が見えた。さすが、富士の地名があるだけに、迫ってくるような感じだ。
チェックアウトして、富士駅へ。そこから草薙の駅へJRでむかう。はじめて下りた駅だが、バスで静岡県立美術館に行く。「朝鮮王朝の絵画と日本」という展示。宇都宮の栃木県立美術館の企画で、宇都宮に行こうかと思ったけれど、ちょうど今回静岡でやることがわかっていたので、今日にした。朝鮮王朝というのは聞き慣れないことばだが、昔で言えば李朝の絵画ということになる。室町から江戸にかけて、日本に中国の絵画として伝えられたもののなかに、かなりの数、朝鮮王朝のものが含まれている。それを一望しようという企画で、さらにそうした朝鮮絵画が日本の画壇にいかに影響を与えたかも検証している。まさに、学芸員が本気で取り組まなければできない企画だと思う。
展示を見終わったら、ちょうど今日の午後、この展示を企画した栃木県立美術館の橋本慎司氏の講演があることに気づく。当日でも聴けるようなので、昼食後開場にむかう。橋本さん、熱を入れてしゃべり、時間が終わっているのにも気づかず、いったん休憩を入れる。そこで、進行係に教えられ、それでも休憩後、30分以上話しをしていた。スライドの数が93枚もあったから、そもそも1時間半では説明は無理だろう。講演を聴いて、認識を新たにする。終わってから、どうして栃木では「円仁展」といい、いい企画が出るのかと尋ねてみると、地方の美術館、博物館でないと、学芸員のイニシアティブで企画を立てることができず、東博など、動員数が問題で、とてもそんなことはできないという答えが返ってきた。これは、とても重要な問題だろう。そうしたいい企画の展覧会は、東京にはまわってこないわけで、東京の人間が、情報から疎外される状況が生まれていることになる。
静鉄で新静岡駅まで出て、新幹線で東京へ戻る。
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はじめまして。
人様の蔵書の整理を兼ねて、アマゾンで多少、本を売っております。
その際に、島田先生のごく初期の翻訳本が出てきました。
イリイチVSフレイレ 対話ー教育を超えて 野草社
というものです。
通常は、訳者の元に、一冊ぐらいあるのではないかと思いますが。約30年近く前のお仕事で、院生(博士課程)時代のもののようです。同世代4人での共訳でもあり、出版社買取で、皆で飲んで終わりで、お手元にあるのかないのか怪しいのではないかと思い、確認かてがて、お問い合わせさせて頂きたいと思います。
こちらの御本、アマゾンで出品させて頂いても宜しいでしょうか?
あるいは、何らかのご事情でお手元にないとか、探しておいでになるようでしたら、御代的なことは結構です。送料は当方負担か、誰か信頼できる人に託して、そのうち島田先生の手に渡るように手配したいと考えております。
先ほどからメールさせて頂いておりますが、送っても送っても戻ってくるので、こちらに書かせていただきます。宜しくご指示ください。
Posted by: 松原 三保 | February 22, 2009 01:49 AM
ご親切にありがとうございます。かなり懐かしい本ですが、ちゃんと持っています。販売していただいてかまいませんよ。
Posted by: 島田裕巳 | February 28, 2009 07:42 PM
島田先生
お返事、有難うございます。
保存用と著者進呈用と、およそ2冊がお手元に渡るのが、通例だとか後日、聞き及びました。
「いきなり、古いアルバムを見せられるようなものなんじゃないのか」という意見も、周囲でありはしましたが(苦笑)やはり、そのようなものでしょうか>懐かしい
本来であれば、私が<撥ねて>手元に残すところでございますが、少々、物入りな用がございまして、出させて頂きます。
どなたか必要な方のところに渡ると、良いのですが。
Posted by: 松原三保 | March 06, 2009 03:21 PM