6月19日(金)今回の臓器移植法の改正で臓器提供が増えるとは思えない
衆議院で、臓器移植法の改正案が、予想外の賛成票で可決された。これで、本人の意志が確認されなくても、家族の同意で、臓器提供が可能になった。これによって、臓器提供の数が増え、とくに15歳以下の移植が国内でも可能になるのではないかと期待されている。
しかし、本当にこれで、臓器提供が増えるのだろうか。脳死を死として定義するとはいっても、肉体の方は生命活動を続けている。脳死状態では、回復の見込みがないので、実質的に死と見なしてもかまわないということだが、そうした生命活動を続けている肉体を前に、家族はすでに死んでいると納得できるものなのだろうか。とくにそれが、子どもとなれば、相当に難しい。
日本は、水子供養がしだいに盛んになってきた国で、生命を左右し、死に至らしめたことに、後になってどこか納得できない、すまないという気持ちをもつようになる傾向が強い。その線で考えれば、家族が脳死になったとき、それを死として受け入れ、臓器提供に踏み切るというのは相当に難しいし、それ以降、ずっとそれで正しかったのかと悩み続けることになる。
家族の同意で可能ということになると、本人の意志を明白にというキャンペーンもあまり行われなくなるだろう。そう考えると、今回の法案によっては、かえって臓器提供が減っていくかもしれない。
そもそも、臓器移植という医療には、費用の問題を含め問題がありすぎる。たしかに、救われる命を救いたいという思いは無視できないが、十分な医療費を支払えず、それによって命を落とすケースだってないとは言えない。その点では、臓器移植だけを特別に考えて良いのか。考えてみれば、さまざまな点でこれほど罪作りな医療もないのかもしれない。
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