3月13日(日)地震とオウム真理教事件
地震の被害は広がり、いったい死者がどれだけの数にのぼるのか予想もつかない状況になっている。原発のこともあるし、電力の不足によって、東日本のほかの地域でも停電と事態が訪れようとしている。考えもしなかったようなことが起こるものだと改めて思う。
昨日、テレビ番組の収録でオウムのことについて話をしたこともあり、1995年のはじめの頃の空気というものが蘇ってくるような気がする。阪神淡路大震災が1月17日に起こり、地下鉄サリン事件は3月20日に起こった。地下鉄サリン事件までは、メディアは地震のことをもっぱら扱い、地下鉄サリン事件以降はオウムのことがもっぱら扱われた。両者のあいだには、自然災害と凶悪犯罪ということで関連性はないが、社会に破滅的な影響を与えた、あるいは与えるという点では共通している。そして、オウムもまた当時は神戸で被災者のためにボランティアをしていたし、一方では、麻原が地震を予言したとアピールもしていた。
地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災とのあいだに何らかの関連性があるのかどうか、はっきりとしたことは言えないだろう。だが、時代の空気ということでは決して無関係とは思えない。少なくとも地下鉄でサリンをまいたオウムの信者のなかには、神戸で地震被害の実際に接していた者もいたことだろう。徹底的に破壊されてしまった街を実際に体験したものが、自ら東京でそれを人為的に再現しようとした。決してそれは無関係とは思えない。
そして、メディアが、そして一般の人たちが、地下鉄サリン事件以降に異常なほどの関心を示したことも、地震のもたらしたやりきれなさいと、やはり無関係ではなかったのではないか。巨大地震の前には、人間はまったくの無力で、想定外のことばかりが起こる。そして、現代の文明がいかにそれに対して脆弱化を露呈する。その無力さや脆弱性を忘れるために、どこか熱狂を必要としたのかもしれない。
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