3月22日(火)火葬できないからといって死者を丁重に葬っていないとは言えないだろう
被災地では、亡くなった方をいかに葬るかということが大きな問題になっている。火葬大国ともいわれる日本では、100パーセント近い死者が火葬される状況になっているが、これは最近になってのことで、また、世界的に考えるとこれほど火葬が広まった国はほかにない。
火葬が広まった結果、土葬にすると死者を丁重に葬っていないという感覚が生まれるようになってきた。おそらく、今回の被災地でも、少し前までは土葬していた地域がけっこうあったと思うが、火葬できないことで、死者にすまないと思う気持ちが生まれている。したがって、現在の土葬はあくまで仮の埋葬で、少ししたら改めて火葬にするということが言われている。
そこには、非常事態のなかで、失われた命に対する悲しみ、自分たちが生き残ったことに対して申し訳ないという気持ち、十分な葬儀を出してやれないことへのやるせなさなどが加味されていることだろう。本来なら、通常の葬儀の仕方で葬ってやれるのにという思いが、土葬はあくまで仮の埋葬という意識を生んでいるように思う。
ただ、土葬自体が、死者を葬る方法として不適切なわけではない。むしろ、家族親族や関係者が自分たちの手で葬ってあげることで、火葬よりもはるかに丁重に葬っているともいえる。それに、土葬の方が土に還る、自然に還るということでは、東京周辺で行われている骨壷に入れたままの墓への埋葬よりも、死者を送る方法として好ましい面もある。
これはとても難しいことだが、被災者の方々が、たとえ土葬にしても、そのこと自体で自責の念にかられることがないようにと願うばかりだ。
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葬祭業に従事する者です。今朝、私の地元紙の一面に東松島市の埋葬写真が掲載されていました。自衛隊員が敬礼をする図に付けられたタイトルが『土葬お許しください』…うちの地方でも十数年前までは 土葬の地域(集落)が当たり前にありましたのに、まるで罪悪感を煽るような記事にがっかりしました。今の島田さんの発言は良くも悪くも影響力があります。このことも、広く発信していただければ 救われる方がいるはずです。どうかお願いします。葬儀屋としては失格かもしれませんが、送る方の苦しみが痛い程伝わって来てとても辛いのです。
Posted by: かな | March 23, 2011 11:52 PM