6月14日(火)ドラッカーで考えると仏教の発展の歴史と現在の問題点がよくわかる
今日も、家で仕事をする。『これがわかれば日本宗教の秘密がわかる』といった感じの本の第2章を書く。神仏習合の実態を次々とあげていくところなので、調べつつ書いていく。したがって、20枚はいかず、15枚くらい書いた。調べていくといろいろと興味深いことも出てくる。室生寺の秘密もわかった。
途中、『週刊朝日』のインタビューを受ける。テーマは、ブッダ。「今なぜブッダなのか」ということで、ブッダが注目されていることについて語ってみる。ドラッカーを読むと、仏教のことについて説明するのがとても楽になる。ドラッカーの肝は、「顧客の創造」というところにあるが、それは大乗仏教の誕生についての説明に使える。大乗仏教は、それまでの小乗仏教の個人の悟り追求中心から脱していくが、その際に、「衆生の発見」を経験する。それによって、他者を救済するという目標が設定され、全体の構造が大きく変わった。
日本の仏教は、この大乗仏教の流れのなかにあり、伝統を守ってきたが、大乗経典によっていくつもの宗派ができた。宗派は、ドラッカー流にいえば、「事業部」に相当する。救済すべき衆生は、それぞれ境遇が違い、来世での往生を求める者もあれば、現世でのご利益を求める者もある。それに対応していくつかの事業部として展開したのが、宗派だといえる。
ただし、近代に入る時点で、「イノベーション」の必要に迫られるが、それを果たせたのは、「歎異抄」を再発見して、親鸞像を大きく変えた浄土真宗くらいだろう。清沢満之の功績が大きい。ほかの宗派は、江戸時代から引き継いだ葬式仏教の伝統に固執してしまった。後、イノベーションをしたのは、戦後の薬師寺。廃寺同前だったのを、写経事業を取り入れることで再興に結びつけた。
今回の震災で、仏教が宗教として必ずしも機能しなかったのは、時代の変化とともに絶えず必要なイノベーションを果たしてこなかったからだろう。既成仏教は、新宗教のイノベーションに勝てなかったともいえる。ただ、その新宗教も、今やイノベーションができなくなり、それで力を失っている。
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