9月15日(火)秀山祭昼の部吉右衛門の松王丸を堪能し新歌昇の意外なスター性に驚く
朝家で少し原稿を書いた後、残暑の続く中、新橋演舞場へ行く。「秀山祭」の昼の部。
最初は「舌出し三番叟」。染五郎と新歌昇。染五郎は三番叟にしては、ちょっと人間的すぎる気がした。新歌昇は、意外に踊りがうまい。もちろん、これまで彼が中心で踊るのを見ていなかったせいもあるが、これには驚いたし、期待も大。次の「新口村」は、藤十郎に元気がない気がした。歌六は、まだ十分老いを表現するまでにはなっていない気がするが、これも初役、しかたのないところだろう。というか、これから八右衛門の役では相当の名演を披露してくれそうな気がしている。
次が「寺子屋」。襲名のための演目。吉右衛門の松王丸はさすがにうまい。妻の魁春も、歌右衛門ばりの相当に難しい演技をしているが、両方で名人芸という気がする。息子の最期をほめるあたり、今回はいつも以上に感情をおさえつつ、それがやがては堰を切って涙にかわるところが巧み。対する源蔵の新又五郎は、足を痛めた影響がもろに出ている。これまではっきりとは認識していなかったが、源蔵は足さばきが命。その足がうまくつかえないと、源蔵の苦悩や、喜びがうまく表現できない。2日目の夜に足をちょうど痛めた場面に遭遇しているだけに、かわいそうだという思いが強かった。
最後は「勢獅子」。ここでも、新歌昇が大活躍。踊りもいいし、はつらつとしている。何より期待できるのは、スター性がありそうなところ。いい時期に襲名したと思う。途中、今回の席は吉右衛門後援会のお世話になったので、夫人が席まで来て、わざわざ挨拶してくれる。いい席で、歌舞伎を堪能できた。ウエストでお茶をして帰る。
« 9月12日(月)利賀村フェスティバルの慰労会が品川で | Main | 9月14日(水)天台宗について考えながら水野和夫さんの新刊を読む »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 11月5日(日)オーディオショウから新発見のスピーカーで歌舞伎座顔見世は充実の舞台(2023.11.05)
- 11月2日(木)『スーフィズムとは何か』(集英社新書)をめぐる鼎談が公開された(2023.11.02)
- 10月8日(日)天王洲アイルのMYAFには長谷川君と前田君がともに(2023.10.08)
- 10月5日(木)縁あって正教会の新約聖書をいただいた(2023.10.05)
- 8月25日(金)朝日カルチャーセンターの新宿教室の講座はまだまだいろいろある(2023.08.25)
Comments
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 9月15日(火)秀山祭昼の部吉右衛門の松王丸を堪能し新歌昇の意外なスター性に驚く:
« 9月12日(月)利賀村フェスティバルの慰労会が品川で | Main | 9月14日(水)天台宗について考えながら水野和夫さんの新刊を読む »
秀山祭、今月は襲名興行でいつもより華やかな感じがしますね。
新又五郎は可哀相ですね。怪我のせいでしっかり芸をみせられないとは。私も源蔵に関しては同意見です。早く治していただきたいです。
ところで新歌昇の踊り、腰が決まってないですよねえ。上下にぶれる。一生懸命なのは認めますけど。私からすると上手いとはまだ評価できませんね。顔はクセがあるけど華やかでよろしいですね。
Posted by: まる | September 13, 2011 11:22 PM