12月9日(火)国立劇場の『伊賀越道中双六』「岡崎」に圧倒される
午前中は家で仕事。日蓮の本を書く。
昼前に家を出て、半蔵門へ。国立劇場。『伊賀越道中双六』の通し。ただし、いつも出る「沼津」はない。44年ぶりに「岡崎」が出るというのがお目当て。
国立劇場の通しは、だいたい脚本が説明的で面白くないことが多いが、今回は違った。最初こそ、筋をただ追っているという感じもあったが、「藤川」あたりから調子がよくなってきた。
圧巻は、何といっても「岡崎」。吉右衛門が珍しくセリフを間違えることが多いのだが、それも、政右衛門と股五郎が紛らわしく、しかも片方が片方に化けたり、しかも、役者に又五郎がいるせいかもしれない。ただ、そんなこともあまり気にならない。
吹雪の中震える妻をわかってつきはなし、そのうえ、自分の子供を殺して投げ捨てるのだから、話は陰惨。その陰惨なところへ行くまでの過程がすさまじく、役者と竹本が一体になっての盛り上げ方は尋常ではない。役者では、とくに歌六がいいが、最後はまるで文楽の人形のように見えた。葵太夫も渾身の語り。最後に、尼姿で米吉が出たところははっとして、美しく、涙を誘う。
歌舞伎にこんな演目があったのかと改めて、作者の近松半二の凄味を感じた。そういえば、大作の『妹背山女庭訓』も、筋が難解な『本朝二十四孝』も、この人が書いたもの。全体が上演されることが少ないが、偉大な作者だと思う。
帰りに書店に2件寄ったが、どちらでも詩想社の『奇跡の日本仏教』が平積みになっていた。
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