7月12日(日)プーさんを悼む
先週、ニューヨークでジャズ・ピアニストの菊地雅章さんが亡くなられた。享年75歳。前から病気をされていたので、そういうこともあるかと思っていたが、もう「プーさん」の演奏が聴けないかと思うと、それは残念だ。
この写真は、もう20年も前に、NHKで「ナイト・ジャーナル」という番組に出ていた時、ゲストで来ていただいたプーさんと撮ったもの。これが、実際に会った初めてのときだった。それ以来、結構おつきあいをさせてもらった。
実は、はじめてジャズを生で聴いたのは、プーさんがヤマハホールで演奏した時で、それは1971年だかになる。まだ高校生だった。そのときは、プーさんのセクステッと、ゲーリー・ピーコックが入ったトリオで、とにかく衝撃を受けた。どんな演奏だったかは、「イースト・ワード」を聴いてみればいい。いつか、プーさんとゲーリーと一緒に蕎麦屋に行ったとき、プーさんは蕎麦好きだったが、そのことを言ってみたが、ふたりともその演奏会のことを覚えていなかった。
プーさんのレコードとしては、なんといっても「ススト」が歴史に残る演奏だと思う。エレクトロニック・マイルスをよりポップに、より過激にしたのが、この演奏ではないかと思う。テザード・ムーンもすごいと思うが、大衆的な人気を得るには至らなかったように思う。
プーさんは口が悪くて、チャーリー・ヘイデンのことを金にうるさいなどとこき下ろしていたが、チャーリー・ヘイデンとゲーリー・ピーコック、それにポール・モチアンというベースとドラムスにピアノとして大きくかかわったのがキース・ジャレットであり、プーさんも、ゲーリーとポールとは親交が深かった。ポールが先に亡くなったことはかなり衝撃だったようで、そのことは「サンライズ」のライナーノートを見るとよくわかる。
プーさんは、あまりに先を行くし、人気が出てくると、わざとその方向に行かないようにしたりと、音楽家としてはかなり偏屈な人だったかもしれない。また、そこに大いなる魅力があった。今頃は、天国で、ポールのドラムスと、なぜかチャーチ―のベースで演奏しているかもしれない。冥福をお祈りします。
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