12月27日(火)『宗教年鑑』は思われているよりも信者数の統計は正確だと考えられるそのわけ
産経新聞の記事で、文化庁の宗務課が出している『宗教年鑑』に記載された各教団の信者数に信ぴょう性がないということが話題になっている。たしかに、信者数を合計すると2億人を超えてしまう、教団によっては一年で信者数を倍にしているということで、問題視されるようになっているようだが、それはこの統計の見方を考えないといけない。私はむしろ信頼できると考えている。
まず、信者数が人口を上回るということだが、これは神社と仏教寺院の信者数を合わせたもので、その数え方からすれば、当然ともいえる。何しろ日本人は神社に初詣にも行けば、お寺に墓参りに行ったりするからだ。神社は、氏子の数を総計し、お寺は檀家の数をもとに申告している。神社の信者数は、初詣の数と変わらないので、それはそれで妥当する。檀家の数も、それぞれの寺の数を合わせて、宗派としてまとめているわけだ。
その一方で、新宗教に分類される教団は、平成の時代に入って、だいたい信者数が半減している。これは、はっきり数字に表れている。増えているのは実質真如苑だけだが、この教団はかつて誇大に信者数を見積もり、それでたたかれた経験から、正確な数字を出している。ほかの新宗教も、衰退の事実が公になるにもかかわらず、毎年信者数が減っていることを報告しているので、かなり正確なのではないだろうか。
既成仏教宗派では、曹洞宗と真宗大谷派が急に信者数を減らした。曹洞宗は寺院の数から考えて、減らしすぎの気もする。大谷派はそれを今回戻しているようで、問題はそうした宗派が、檀家の数の数え方で模索しているように思われることだ。
問題は、創価学会で、ここは827万世帯でここのところ変化がないが、世帯数ということは、既成仏教と同様に、檀家的に信者をとらえていることになる。それは日蓮正宗と密接にかかわっていた時代の名残だろう。
もっとも、創価学会の信者数は『宗教年鑑』には記載されていない。単位法人なので、そうなっている。幸福の科学も同じ。
もろもろ考えて、ほかに統計がないこともあり、『宗教年鑑』はやはり重要である。これがないと何もわからなくなる。
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