2月28日(火)村上春樹さんの新作『騎士団長殺し』を読んだ
村上春樹さんの『騎士団長殺し』を昨日の晩読み終えた。24日に買っているから、4日かかったことになる。原稿用紙で2000枚というから、一日500枚も読んだことになるが、重厚な作品を読み終えたという印象はあまりない。
過去の作品と比べて、面白いのか面白くないのかということになると、それほど面白くはないのかもしれない。全体に物語が、小田原周辺の山のなかで展開し、その外側にはあまり出ていかないので、ダイナミックな展開にはならない。それに冒頭から、主人公が妻と別れていた期間は9か月とはっきり書かれているので、結末はある程度予想ができる。
一番印象的なのは、騎士団長という存在だ。イデアが、「騎士団長殺し」という絵に描かれた存在の姿を仮にとって主人公の前に現れたということになっているが、しゃべり方は「あらない」を多用し、そこで強く印象に残る。「あることがない」という、根本的に存在論的な登場人物だ。
主人公は、主に肖像画を描いてきた画家で、絵ということが物語の中心をなしている。絵は、対象となる存在を具体化して描き出すものでもあるが、その対象の本質的なものを浮かび上がらせるという点で、イデアを形にするということに結び付く。作者が試みようとしたのは、おそらくそのことなのだろう。
家などの空間についてもかなり詳細に描かれている。家もまた、そこに住む人間のイデアを形にしたものと言える。いつものように、いろいろ音楽が出てくるが、それはむしろ背景的なものに過ぎない。
「謎解きはさほど重要ではない」と作者は暗示しているのかもしれない。大切なのは、描かれた細部であり、物語はやはり背景に退いている。ただ読んで、あまり考えない。読んでいる時間だけが問題。もしかしたらそんな小説なのかもしれない。
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