9月5日(水)新しい「俊寛」と新しいだけの「幽玄」で秀山祭は夜の部
昨日は台風のなか歌舞伎座夜の部へ行った。
吉右衛門の俊寛は何度か見ているが、今回は幕切れが違った。たいがい、赦免船にむかって手をふるのだが、それは一切なし。ただ、前方を見つめているだけ。ご本人の話では、極楽へと導く弘誓の船が見えているということだが、これだけを見てもそれはわからない。今回気づいたのは、成経が出だしのところで、熊野権現を勧請して祀っていると言っていたこと。熊野権現は、中世では浄土と考えられ、だからこそ熊野詣が盛んになった。床本では、熊野三所とあった。方向性は定まったが、まだ未完成と言う印象の俊寛だった。
早野龍五さんの前日のツイートから悪い予感がしていたが、玉三郎の「幽玄」、いろいろと問題で、進めば進むほど、見ないで帰ればよかったと思わせた。鼓童との共演で、それ自体異色だが、彼らの演奏は実は邦楽ではなく、和太鼓による西洋音楽だということが大きなずれのもと。謡曲もグレゴリア聖歌に聴こえる。
とくに、道成寺の部分になると、鼓童が主役になる分、玉三郎の舞の意味がなくなった。なんだか、1970年代にあったであろう、前衛的な日本舞踊のようになる。玉三郎まで出て華やかになった秀山祭だが、三部制にして、第2部までを秀山祭とした方がよかったのではなかろうか。
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