7月10日(水)歌舞伎座夜の部「成田千本桜」は海老蔵歌舞伎のはじまりを告げる画期的な作品
昨日歌舞伎座で昼の部と夜の部を続けてみた。今月の歌舞伎座は、Sold out。一枚もチケットが残っていない。
だから、開演前もかなりの混雑。
昼の部は、堀越勸玄の「外郎売」、早口ことばがすべて。歌舞伎座でこれだけ大きな拍手はこれまで聴いたことがない。これだけで、チケットが完売するのだから、彼のカリスマ性はかなりのもの。声がよく通る。果たしてどんな歌舞伎役者になるのか。新之助襲名でこれをやるのかと思っていたが、筋書きの古井戸氏の解説を読んだら、「暫」という可能性があるようだ。
そこまでの昼の部は、「高時」の天狗踊り、「西郷と豚姫」の獅童の亡き勘三郎への思い、「素襖落」の海老蔵の奈須語での登場人物の早変わりが注目か。
すさまじかったのは、夜の部。終わってみれば、9時45分くらいの長丁場。13役早変わりで、どうなるかと思ったが、最後は壮絶な終わり方だった。筋は千本桜なのでしっかりと出来上がり、人物もくっきりと造形されている。それを凝縮すると、これまでとは違う、人の生き死にの根本にかかわるようなドラマが浮き出てくるところが面白い。「太平記」を一気に読んでしまうようなものか。
上演にかかわった勘十郎が、戸惑い、自分の頭の固さや勇気の無さを痛感したと書いているが、それだけ今回の試みが大胆なものだということを示している。「海老蔵歌舞伎」の本当の誕生かもしれない。これがやりたかったのだという気持ちは、海老蔵を20年近く見てきてよく分かった。これで歌舞伎界も変わるやも。
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