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昨日はミュージックバードの収録。
お相手は、『シャープス&フラッツ』などの著作のあるジャズ・ライター、長門竜也さん。この番組で相手が男性というのは珍しく4人目。それ以外は、女性ばかりだった。
私がかけたのは、ソニー・ロリンズとコールマン・ホーキンスが共演したアルバム。「サマータイム」をかけたが、バックがポール・ブレイなどのフリー系で、全体がそんな雰囲気。ホーキンスは、まるでアルバート・アイラーのよう。これが1963年の録音。今まで知らなかったアルバム。あまり話題になることもないが、ジャズ史を語るうえでは重要な作品だろう。デジタル音源でもっていったが、帰りがけディスクユニオン新宿店でLPを買った。
他にもう一つ、オデット・ツールというサキソフォン奏者の「キャント・ヘルプ・フォーリン・イン・ラブ」をかける。イスラエルのジャズメンだが、インドのラーガを学んだとのこと。それがプレスリーのヒット曲を演奏するというのだから面白い。
今月の15日に、我が家にLinn Klimax System Hubが導入された。音が一新するすばらしなのだが、大きな問題が生じた。
LP12でレコードをかけると、音が奥に引っ込んで、本領が発揮できないのだ。
それはそれで大問題だが、6月1日には『アナログ』誌の取材を受けることになった。アナログがデジタルよりも負けている状態ではとても取材に応じられない。そこで、サウンドクリエイトで相談したら、社長の金野氏が調整にきてくれた。
針圧やら、サブウーファーの値の調整などをしてくれ、だいぶ改善したが、最後は、ラックの入れ替え。サウンドクリエイト特注の板に、QUADRASPIREの柱をとりつけたもの。
これで、LP12の方も本領を発揮するようになった。なんとか取材も受けられる。
時事通信のサイトに記事を寄稿した。
「葬式の簡略化が進む理由◆消えゆく死のドラマ」ということで、これまでとは少し違う角度から葬式のことについて考えてみた。
かつての葬式は重要なイベントで、参列者にとっては、その好奇心を刺激するエンターテイメントでもあった。そうした側面が葬式から失われることで、簡略化は加速されたように思う。
それは、個人の死というものの重要性が失われたことにもつながる。死は重要な出来事であったはずだが、最近ではそうではなくなっている。
来週の27日に発売になる『宗教対立がわかると「世界史」がかわる』(晶文社)の見本が届いた。
目次は、以下のとおり。多岐にわたって宗教対立の問題を考えてみた。
晶文社は2冊目。表紙がいかにも晶文社らしい。
はじめに
ロシア正教とウクライナ正教の反目
ロシア正教会はロシアのアイデンティティ
「第3のローマ」モスクワ
共産主義と宗教の和解
聖なるロシア
仏教と神道の対立
日本における宗教弾圧
第1章 宗教対立の起源――十字軍遠征の意外な真実
1 ローマ帝国はキリスト教を迫害していない
外来宗教との対立
デウスを大日としたザビエル
手強い禅宗との宗論
仏教と道教の対立
度重なる老子=釈迦説の否定
儒教には教団がない
キリスト教徒は皇帝崇拝を拒絶?
ローマ帝国によるキリスト教公認は怪しい
天理教は軽犯罪で罰せられた
皇帝崇拝はキリスト教公認以前のもの
国家統合に役立つ公認宗教
2 贖罪と金儲けのための十字軍
キリストは神ではない、という根深い主張
ぬぐい切れない「キリスト教= 多神教」論
3つの宗教の交差点「エルサレム」
十字軍のそもそもの目的は「贖罪」
ユダヤ教に原罪の観念はない
アウグスティヌスの回心
善悪二元論、現世否定のマニ教
マニ教の深い影響力
聖遺物の蒐集と十字軍派遣
中世で大流行した聖遺物崇敬
聖地奪回では片づかない十字軍の意味
第2章 宗教対立の陰に経済がある
1 プロテスタントは何を“改革"したか
ハンチントンの文明の8分類
文明の主軸に宗教あり
プロテスタントの側から見た改革イメージ
ルターは“公然と"教会批判をした
パウロの書簡のなぞ
終末論と教会制度の結びつき
生誕から死までカバーする「七つの秘蹟」
教皇こそ教会の力の源泉
2 教会と世俗権力の「人事と金」をめぐる争い
教会と経済活動
人事をめぐる闘争
銀行業務を行ったテンプル騎士団
異教徒からは利子が取れる
十字軍のための経済的な支え
宗教改革に対抗してできたイエズス会
商才に長けた宣教師たち
教会領としての長崎
アジールとしての宗教勢力
教会に頼らず聖書に頼る――ルターの改革の真意
第3章 キリスト教とイスラム教は対立していたか――近代以前と以後
1 野蛮なキリスト教世界、進んだイスラム教世界
宗教対立の契機
アラブ側には不明だった十字軍の目的
文明の先進地アラブ
医療もイスラム世界の方がすぐれていた
野蛮な十字軍
オスマン帝国に「スルタン・カリフ制」の成立
重要問題の判定者= カリフ
オスマン帝国の軍人にキリスト教徒もいた
宗教の混交は当たり前
「イスラーム世界」という言い方への違和感
イスラム教の大勢力は東南アジア、南アジア
19世紀に成立した「イスラーム世界」という見方
2 イスラムには組織も宣教も現在もない
キリスト教に宗教法がない
イスラム教徒はモスクに属してはいない
イスラム教は商人の宗教
イスラム教のもつ緩さ
「啓典の民」を認めるイスラム教
利子を取れる「啓典の民」は貴重
対立は近代に入ってから
第4章 インドの宗教対立の歴史を追う―― 多神教は寛容なのか
1 中国、朝鮮、日本の「廃仏」の歴史
中国における「廃仏」
仏教弾圧にも経済的背景が
李氏朝鮮における廃仏政策
寺社勢力から土地を奪い、税を課した明治政府
2 神話とナショナリズムの形成
ヒンドゥー教徒によるモスク襲撃
アヨディヤ事件の背景
イスラム教徒は全体の13パーセント
体系化されていないヒンドゥー教
ヒンドゥー・ナショナリズムの2つの背景
政治への幻滅から興ったナショナリズム
3 神話の政治利用
神話ドラマと連動する政治
神話と歴史的事実との関係
捏造される神話
神話を根拠とナショナリズム
税金を取り異教を許したオスマン帝国
非イスラム教組織を徴税に利用する
オスマン帝国とムガル帝国の統治の違い
第5章 2つの原理主義が向かう先――福音派とワッハーブ派
1 アメリカを襲った信仰復興の狂熱
新しいことば「原理主義」
イラン革命とイスラム原理主義
先にあったキリスト教原理主義
福音派の主張
「アメリカの子どもたちを戦士に」
アメリカの異様な信仰復興熱
商品のセールスと信仰の宣伝
キリスト教の特殊性
2 何度もよみがえるイスラム原理主義
18世紀のイスラム改革運動
イルハン朝の従軍記者
ムスリム同胞団に引き継がれた思想
原理主義が対したのは国内政治の矛盾
第6章 宗教とテロの関係史
1 イスラム教の特性とテロ
イスラムは「普通名詞」の世界
アフガニスタンでの米ソの確執
同時多発テロ
ハンブルグ・グループ
ビンラディン主犯説の疑わしさ
組織ではなくネットワーク
イスラム教徒による襲撃事件
増える「自爆テロ」
殉教者を聖人とする仕組みがない
2 個人の改心が宗教対立を引き起こす
エリートたちがテロリストに
世俗的な若者たちの変身
内面の変化が大きな要因
「チンケな若者」による大量殺戮
宗教の確信と劣等感
外側にある悪を強く意識する
狂信者の系譜
暗殺対象の歴史的な変化
個人が引き起こす宗教対立
第7章 世俗主義が巻き起こす新たな宗教対立
1 宗教改革から政教分離へ
ある映画の隠された意味
改革派「ユグノー」への弾圧
フランス革命と宗教
フランスにおける政教分離の流れ
カトリック教会の激しい抵抗
宗教的標章規制法の成立
2 国内の宗教対立
オイルショック後の移民政策の変化
聖俗一体化したイスラム教との根本的差異
トルコにおける世俗化
顕著なイスラム教復興の動き
国家による世俗化との対立
おわりに
民族宗教と世界宗教
宗教衰退の原因
カーストとイスラム教の拡大
分断と宗教対立のゆくえ
昨日は京橋の国立映画アーカーイブへ行った。「『紅葉狩』赤染色版の発掘と林又一郎コレクション―初代中村鴈治郎をめぐるフィルム群」を見るため。
『紅葉狩』は見たことがあったが、他ははじめて。初代鴈治郎の演技など見たことがなかったし、他に15代目羽左衛門やら6代目菊五郎など、いろいろと見ることができた。最後に上映されたのが鴈治郎の葬儀。これがすごかった。葬儀の歴史に残るような規模。それ自体が研究に値する。
銀座周辺をぶらついてから帰宅。
夕方には、注文していてLinn Klimax System Hubが届く。夏になるのではと言われていたが思いのほか早く届く。
かなり高価なものではあるが、音を出すと、今までとは世界がまったく違う。演奏者が、聴いている人のために演奏してくれているという感覚になる。いったいどこまで素晴らしい音が出るのか。いろいろ試してみなければならない。
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