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上野千鶴子さんとは面識がない。国際日本文化研究センターの開所を記念したパーティーで同じ場にいて、数メートル先に上野さんがいたのを目撃したことはある。
共著という形で本を出している形にはなっているが、これは、聞き手の亀山さんの本。
その最初に、上野さんのことが取り上げられていて、その冒頭に、上野さんは、既婚者と恋愛したことがあるかと聞かれたら、自分では既婚、未婚を問わない。不倫かどうかは相手の問題だと答えている。そして、既婚者と恋愛しているときにメディアから取材されたら、そのように答えようと用意していたのに、幸か不幸か取材がこなかったと語っている。これは深読みすべきところだったのかもしれないと、今は思う。
今から30年ほど前、1990年代に、知り合いのNHKのディレクターから、上野さんがパートナーと北海道に旅行するのに付き合ったということを聞いたことがあった。男性から「ちいちゃん」と呼ばれているということも聞いた。その男性が、色川大吉さんだったのかもしれない。その点では、知る人は知っていたのだろう。
毎月届く『てんとう虫』という雑誌に、上野さんが八ヶ岳での別荘ぐらしについて連載している。なんで八ヶ岳なんだろうかと思っていたが、腑に落ちた。そこは愛の巣であり、思い出の地なのだ。
というわけで、いろいろなことが符合し、腑に落ちた。
今日は歌舞伎座の第1部へ行った。
演目はご存じの「三人吉三」。本来は長大な物語で、それを全部見てみたいという願望を持っているのだが、実現はしそうにない。一部、コクーン歌舞伎では取り上げられたが。
今日は一階席。芝居は何でも、最初からの進行で全体が決まる。壱太郎のおとせが丁寧な芝居をしていて、七之助のお嬢も盗賊らしい。
愛之助もよいが、何と言っても松緑の和尚吉三が素晴らしかった。出色の出来。気持ちが入っていて、感動した。
紀尾井町夜話の特別編も今度100回を迎える。その仕切り役をやり続けたことで、歌舞伎というものを根本から見直したのかもしれない。なかなかそういう機会はないのだろう。それが成長につながったように思う。
今日は歌舞伎座へ。第2部と第3部。
第2部は「女車引」から。車引の女性版で舞踊。七之助がかわいかった。
その後は、富十郎追善で鷹之助の「船弁慶」。がんばってはいるが、富十郎のことを考えてしまうと、そこまでの距離は遠い。
第2部はそれだけで、1時間半ほど。演目的にも、これだと客は入らない。
第3部は、仁左衛門一世一代の「霊験亀山鉾」こちらは、第2部に比べて長く、全部で2時間50分ほど。前半が2時間を超え、これはさすがに長かった。前に国立で見ているが、配役が違う。一番大きな違いは、錦之助が芝翫に代わったこと。
2役なので、芝翫声を変えようとしているようだが、源之丞、声が高すぎて聴きにくい。仁左衛門はもっともニンにかなった役で、本当の悪だ。
第2部と同じ料金というのは、どちらが得でどちらが損なのか。いろいろと事情もあるが、第2部の中身はいかがなものか。
昨日の午後は紀尾井ホールへ。ブラッド・メルドーのソロ・コンサート。
2列目の席なので、どうピアノを弾いているかがよくわかった。以前、コットン・クラブでジョシュア・レッドマンとのデュオを聞いて以来。
「10イヤーズ・ソロ」のアルバムを聴くと、宗教的な文言が多く出てくるが、昨日はあまりそうした雰囲気はなかった。取り上げた曲も、今度出るビートルズの曲集や、ボブ・ディラン、ジミー・ヘンドリックスとポピュラーな曲が多かった。明るく華やか。テクニックは最高。
ただ、2014年5月9日に、同じホールでキース・ジャレットのやはりソロを聴いたことが念頭から離れなかった。山中千尋さんなどは、メルドーは神と言っていたが、今回は神とは感じなかった。キースの方が本当に神。あの日のことは生涯忘れない。
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