9月10日(木)渡辺保先生の訃報に接してその思い出を
演劇評論家の渡辺保先生が亡くなられた。
先生の存在は昔から知っていたが、初めてその姿を拝見したのは1992年のこと。淑徳短期大学で日本宗教学会が開かれたとき、先生はクロークを担当していた。本務校なので駆り出されたわけだ。そのときはまだ面識がなかったが、嬉々としてクロークの仕事をしている姿がとても印象に残った。
知己を得たのは、鈴木忠志さんが静岡芸術劇場に携わっていたときだと思う。それ以降、歌舞伎座などでもよくお会いしたが、たまたまNHK文化センター青山教室で講師をしていたとき、同じ時間に講座があり、始まる前にいろいろお話ができた。
一昨年から昨年にかけては、その青山教室で、渡辺先生の歌舞伎についての講座を何度か拝聴した。そのときは、そうとうこの先生は悪口という印象を受けたが、それが最後の思い出になった。その後、倒れて骨折になり、それで動けなくなったと聞いた。恒例の歌舞伎評も、昨年の6月で途絶えてしまい、私たち歌舞伎ファンは指針を失った思いがしていた。
いろいろお付き合いできたことは、私にとって幸福なことだった。ご冥福をお祈りしたいが、あの世では、かつての名優たちの芝居をまたご覧になっていることだろう。
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