今日は経営科学出版での古事記ゼミの2回目。本文に入り、国産みと神産みを扱う。序文に比べると、本文の方が読みやすい。
終わってから、原宿経由で乃木坂へ。サントリー美術館に寄る。「儒教のかたち」という珍しい展覧会をやっている。
儒教関係の展覧会というのははじめてで、為政者を戒める「勧戒画」などが展示されていた。日本では、江戸幕府が儒教を学問、倫理道徳の中心に据えたので、それに関連するもの。歌舞伎では「二十四孝」という演目があり、それもこうしたことに関連するので、浮世絵なども展示されていた。
内容が内容だけに、観覧者はとても少なかった。おかげでゆっくりと見ることができた。こんな世界があるのを知るのも悪くない。少なくとも、私には勉強になった。
今日の午後は、吉祥寺へ。
吉祥寺シアターで、劇団スコットの公演をみる。
恒例の公演だが、今年で最後の可能性もあるらしい。鈴木さんも85歳。昨年は元気がなかったが、今年はすっかり回復されていた。
『世界の果てからこんにちは』のシリーズは、日本ということがテーマになっていて、そのあり方が批判的にあつかわれている。終わってから聞いたところでは、チェーホフやら、武田泰淳が下敷きになっているらしい。
この公演で、成田龍一さんと吉見俊也さんに、30年ぶりだかで会う。一緒に井の頭線で帰ってきたが、最後、なぜか島薗進論というか、島薗さんのいろいろな話になっていた。成田さんとは、島薗さんが東外大につとめていたとき、その研究室で会ったのがはじめてだった。
いろいろ懐かしい人にもあえて楽しかった。
今日の午前中は、朝日カルチャーセンター新宿教室で鎌倉の仏教についての講義。
昼食の後、大江戸線で上野広小路へ。そこから、上野駅まで地下で行けるのを知らなかった。国立博物館の「神護寺展」へ。
神護寺は一度だけ行ったことがある。400段だかの石段がきつかった。もう着いたかと思うと、さらに先があるという具合で、それが印象に残っている。今回は、そのとき拝観した薬師如来像が来ている。これは、薬師如来としては珍しい立像。
ほかに、重要なのは、両界曼荼羅。空海在世時につくられたとされるが、密教の儀式で使われてきたので、相当に傷んでいる。それが修復され展示されたが、巨大で細かなところはよく分からない。次の空海展でも出るらしいが、今日見たのは胎蔵界。
ほかにも神護寺はかなりお宝をもっており、伝源頼朝像などが展示されていた。これは、頼朝ではないと、最近では言われている。
ほかには、五大虚空蔵菩薩像。これも、どこかで一度は見ているはず。
神護寺は空海との縁も深く、最澄が最初に密教の灌頂をしたところでもある。また一度行ってみたい。そんな気になった。
午前中は、朝日カルチャーセンター新宿教室で講義。今回から、「神社と日本人」というシリーズがはじまった。神社はこのところ続けているし、これからも続きそう。今回は、日本に特別な神社というものが、日本人の特性をいかに示しているかを考えようとしている。
午後は、昼食が上野へ。国立博物館で、「法然と極楽浄土」。浄土宗開宗850年の記念展。
法然の展覧会はすでに何度か見ている。その点で、法然にまつわるものは珍しくないが、それでは注目されないだろうと、極楽浄土に関連する展示品が少なくない。一番の目玉は、當麻曼荼羅の原本。前にも奈良で見たことがあるが、妻はみたことがない。それにしても、巨大。よくこれだけのものができたと感心する。
他には、髪の毛を織り込んだ南無阿弥陀仏の名号はみたことがない気がした。最後は、狩野一信の五百羅漢図。いつ見ても異様。これも増上寺で全部を見たことがある。新指定の国宝、重要文化財も展示されているが、国宝の二体の仏像。できとしてはそれほどよくない。運慶快慶のめぼしいものが国宝に指定されてしまったので、それ以降になると、やはり技術が劣る。
終わってから日本橋で更科堀井。
今日は、『若者のための死の教科書』グループの「死想会」のYouTubeライブの4回目。
原田正治・松本麗華『被害者家族と加害者家族 死刑をめぐる対話』(岩波ブックレット)をめぐって話をした。
なかなかにして難しい問題で、しかも、私にとってはオウムのことがからんでくるので複雑。最近の司法の流れでは、被害者ないしはその家族の存在にようやく目が行くようになったが、加害者家族となるとまだ視野に入っていない。
いったい死刑にはどういう意味があるのか。なぜ人は人を殺すのかなど、問題は多岐にわたった。結論がすぐに出るような問題でもない。考え続けていくしかないということにもなるが、今日はそのきっかけになったかもしれない。
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